ごめんね、そしてこれから: コミュニケーション成長記

任せた仕事の進捗確認で部下の信頼を損ねた失敗:原因分析と信頼回復の対話術

Tags: コミュニケーション, マネジメント, 進捗管理, 信頼関係, 自己分析, 失敗談

マネージャーとして部下に仕事を任せることは、チーム全体の生産性向上や部下の成長を促す上で非常に重要です。しかし、任せた後の「進捗確認」のやり方を誤ると、部下との関係性を悪化させたり、ひいては信頼を損ねたりする場合があります。今回は、私自身が経験した、進捗確認におけるコミュニケーションの失敗とその学びについてお話しします。

任せた仕事の進捗確認で失敗した経験

過去に、ある重要なタスクを部下に任せた時のことです。その部下は経験が浅かったため、私は「失敗してはいけない」という思いから、過剰に進捗確認をしてしまいました。具体的には、毎日のように「どこまで進んだか」「困っていることはないか」「この部分は大丈夫か」と声をかけ、タスクの一部を細かく確認するよう求めたのです。

私の意図は、部下が困る前にサポートし、期日内に質の高い成果を出してもらうことでした。しかし、私の声かけは部下にとっては「信用されていない」「マイクロマネジメントされている」と感じられたようです。次第に部下からの返答は少なくなり、表情も硬くなっていきました。結果として、タスクは完了しましたが、部下は自信を失ったように見え、私との間に以前のようなオープンなコミュニケーションはなくなってしまいました。

失敗の原因を自己分析する

なぜこのような失敗が起きたのでしょうか。深く自己分析を行った結果、いくつかの原因が見えてきました。

これらの自己分析を通じて、私の失敗は単なるコミュニケーションスキル不足ではなく、部下への信頼の欠如や自己中心的な視点から生じたものであると痛感しました。

信頼関係を回復し、効果的な進捗確認へ転換する

この失敗から学び、部下との信頼関係を回復し、より効果的な進捗確認を行うために、私は意識的に以下のような点を取り組みました。

  1. 進捗確認の目的を再定義し、部下に伝える: 進捗確認は「管理のため」ではなく、「サポートのため」「課題を早期に発見し解決するため」「共通認識を持つため」であることを明確にしました。部下にもその目的を伝え、「困ったらいつでも相談してほしい」というメッセージを繰り返し伝えました。
  2. 部下への信頼を前提とした姿勢を持つ: 部下には仕事をやり遂げる能力があると信じることから始めました。確認の頻度を減らし、部下からの報告を待つ時間を増やしました。すぐに詳細を確認したくなる衝動を抑え、「まずは任せてみる」ことを実践しました。
  3. 「How」ではなく「What」を中心に問いかける: 進捗状況を細かく聞くのではなく、「今、何に時間を使っていますか」「次のステップは何ですか」「何か障害になりそうなことはありますか」といった、部下自身が状況を説明し、課題を特定できるような問いかけを意識しました。
  4. 定期的な1on1の活用: 進捗確認のためだけに頻繁に声をかけるのではなく、週に一度の1on1ミーティングの時間を活用し、じっくりと話を聞くようにしました。業務の進捗だけでなく、部下のキャリアや悩みなども聞くことで、より深い信頼関係の構築を目指しました。
  5. 報連相のルールを共に決める: 進捗報告の頻度、形式(口頭、チャット、日報など)、どのような情報が必要かなどについて、部下と話し合い、お互いが納得できるルールを定めました。これにより、部下は報告の予測がつきやすくなり、私も必要な情報を適切なタイミングで得られるようになりました。
  6. 自身の状況や懸念を自己開示する: 私自身が抱えている懸念や、なぜその情報が必要なのかを率直に伝えることも効果的でした。「この件は期日が厳しいので、何か手伝えることがあれば遠慮なく言ってほしい」といったように、自分の状況を開示することで、部下も安心して状況を共有してくれるようになりました。

これらの取り組みはすぐに効果が出たわけではありませんが、時間をかけて部下とのコミュニケーションは改善されていきました。部下は再び安心して相談してくれるようになり、私自身も部下の自律性を尊重しつつ、必要なサポートを行うバランス感覚を養うことができました。

まとめ:失敗から学ぶ、任せる力と見守る力

任せた仕事の進捗確認における失敗は、マネージャーにとって避けて通れない課題の一つかもしれません。しかし、その失敗を自己分析し、原因と向き合うことで、部下とのコミュニケーションを改善し、より強固な信頼関係を築く機会に変えることができます。

重要なのは、進捗確認を「管理」の手段とするのではなく、「支援」と「成長」のためのコミュニケーションであると捉え直すことです。部下を信頼し、適切な距離感を保ちながら、必要に応じてサポートする「任せる力」と「見守る力」をバランス良く発揮することが、チームの成果と部下の成長、そして自分自身のマネジメント力向上に繋がるのだと、改めて感じています。今回の失敗が、読者の皆様にとって、ご自身のコミュニケーションやマネジメントを振り返る一助となれば幸いです。